「伝道師」が語る中国の脱米国化 トランプ・習会談の行方は
Source:每日新闻
By:河津啓介
Updated:2025/10/29 14:24
世界が関⼼を寄せる⽶中⾸脳会談が30⽇、韓国で開催される。

トランプ⽶⼤統領(左) と中国の習近平国家主席 = ⼤阪市で2019年6⽉ 29⽇ 、AP
中国側の視点では⼤国間競争の現状と、その⾏⽅はどう⾒えているのか。
国際情勢に詳しい北京市の中国⼈⺠⼤重陽⾦融研究院 、王⽂院⻑は「中国の脱⽶国化」をキーワードに挙げた。

中国⼈⺠⼤重陽⾦融研究院の王⽂院⻑ =北京市の中華全国新聞⼯作者協会で2025年10⽉24⽇ 、河津啓介撮影
中国の学術界において 、王⽒は外国メディアの取材に積極的に応じ 、習近平国家主席が進める「中国式現代化」を世界へ発信する「伝道師」と⾔える存在だ 。王⽒は24⽇ 、北京市内で中国の 新たな中期経済⽅針「5カ年計画」に関する講演会に臨み 、⽶中関係や台湾問題を語った。
「切り札」 に⾃信
⾸脳会談の焦点であるレアアー ス(希⼟類)問題について 、王⽒は「中国はレアアー スの輸出 や加⼯を掌握する絶対的な⼒があり 、⾃信を持っている 。⽯油に置き換えれば 、ロシアやサウジ アラビアなど主要な産油国が持つ油⽥ 、精製所 、加⼯施設のほぼすべてを⼿中に収めているようなものだ」と強調した。
中国政府は今⽉9⽇ 、 レアアース輸出の規制強化を打ち出し 、反発したトランプ⽶⼤統領が「中国に100%の追加関税を課す」と警告する事態になった 。しかし 、中国側は「⽶国が先に仕掛けてきた」との不満が⼤きいようだ。
王⽒は規制強化を「やむを得ない対抗措置」と表現 。 その理由として「⽶国が9⽉に中国企業を輸出規制の対象に追加した 。中国の航空会社にロシア領空を⾶⾏しないよう要求し 、中国の船舶から⼊港⼿数料の徴収も始めた 。相⼿があの⼿この⼿で挑発してく るならば 、我々も反撃せざるを得ない」と説明した。
王⽒は「我々の切り札はレアアースだけではない」とも主張する 。中国は⽶国産⼤⾖の輸⼊を事実上停⽌し 、⽶国では販路を失った農家が苦境に⽴たされている 。トップ会談での交渉材料になる可能性 がある。
「依存」から「⾃給」へ
王⽒は講演で「⽶国は依然として重要な協⼒相⼿ではあるが 、中国にとっての重要性は低下している 。⽶国が圧⼒をかけても 、我々は動じなくなり、より⾃信を深めている」と語った。
王⽒は最近 、⽶国の外交専⾨誌に「中国の脱⽶国化戦略」と題する論考を発表 。そこで対⽶依存の脱却が進む具体例として 、貿易相⼿の多⾓化▽科学技術の⾃主開発▽⼈⺠元決済の拡⼤ —— を挙げた 。経済分野にとどまらず 、政治体制においても「⽶国主導の国際ル—ルの受容者から 、新たな統治構造の構築に積極的に参加する存在へと移⾏している」と主張する。
台湾や対⽇関係は︖
中国は台湾問題を譲歩の許されない「核⼼的 利益」と位置づけており 、予測の難しいトランプ⽒の出⽅を注視している。

中国⼈⺠⼤学重陽⾦融研究院の王⽂院⻑ =北京市の中国⼈⺠⼤学で2025年10⽉22⽇午後4時34分 、飯⽥憲撮影
王⽒は「過去半年あまりのトランプ⽒の発⾔から 、台湾問題への関⼼が薄れていることが⾒て取れる 。今⽉末に⾸脳会談が実現し 、来年早々にトランプ⽒が訪中すれば 、—定の緊張緩和が実現するのではないか」 との⾒⽅を⽰した。
—⽅ 、⽇本を含む周辺国との関係について 、王⽒は「中国の発展は⼤きな利益をもたらす」と強調 。「中国は 、⽇本で(⾼市早苗) ⾸相が 就任した後も 、より良い関係を持ちたいと思っている」と述べ 、貿易や投資の拡⼤に期待を⽰した。
⽇中連携に前向きな発⾔の背景には 、やはり⽶国に対抗する戦略がありそうだ。
王⽒は「中国が周辺国にもたらす最⼤の利益は『安定』だ 。⽶国では 、トランプ⽒が—⾔投稿すれば政策が変わり 、不確実性が⾼まっている 。我々は新たな5カ年計画を提⽰し 、今後の⽅向性を明確にした 。現在の世界に最も⽋けている確実性を 、中国は体現している」との持論を展開した 。【北京・河津啓介】
Key Words: China, The U.S., Japan
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